PURE system について

PURE systemは、東京大学大学院新領域創成科学研究科の上田卓也教授のグループにより開発された再構成型無細胞タンパク質合成系です (Ref. 1, 2)。 大腸菌で翻訳反応に関与する開始因子(IF1、IF2、IF3)、伸長因子(EF-Tu、EF-Ts、EF-G)、終結(解離)因子(RF1、RF2、RF3)、リボソーム再生因子(RRF)、20 種類のアミノアシルtRNA合成酵素(ARS)、メチオニルtRNAフォルミル転移酵素、リボソームと、転写反応に必要なT7 RNAポリメラーゼ、エネルギー再生に必要な4種類の酵素タンパク質を個別に精製した後、アミノ酸、NTP、tRNAなどと混合して再構成した新規の無細胞タンパク質合成系です。反応液に、目的のタンパク質をコードするDNA(もしくはmRNA)を添加して反応することにより、タンパク質を合成することが可能です(図1)。 ほかの無細胞タンパク質合成系のように細胞抽出液を使用せず、精製した因子を混合した反応液を使用するため、組成を自由に調節できる、タンパク質合成に無関係なタンパク質をほとんど含まないなどのすぐれた特長を有しています。

Ref)
1. Shimizu et al. (2001) Nat. Biotecnol., vol. 19, p. 751
2. Shimizu et al. (2005) Methods, vol. 36, p. 299

図1. PURE system におけるタンパク質合成の概略