PUREfrex は、PURE systemを基にした大腸菌でのタンパク質合成に関与する因子のみから再構成した無細胞タンパク質合成系であるため、PUREfrex による反応では、ポリペプチドの合成のみが行われます。しかし、適切な追加因子を使用することで翻訳後修飾も可能です。今回は、糖転移酵素および基質となる糖供与体を用いて、PUREfrex でN型糖鎖修飾タンパク質の合成を行った結果をご紹介します。
第22回 日本蛋白質科学会年会で口頭発表したスライドがご覧いただけます。
1.糖転移酵素と糖供与体について
糖鎖修飾と聞くと複雑なオリゴ糖の修飾がイメージされますが、本研究では主に原核生物の糖転移酵素を用いて、単糖を修飾する方法にて実験を行いました。
2.モデルタンパク質と合成方法
モデルタンパク質として、大腸菌Colicin-E7 immunity proteinにN型糖鎖付加配列を挿入したもの (Im7-6) を用いました。
合成方法は、Im7-6 ならびに数種類の糖転移酵素を個別に合成したものを用いて行った糖鎖修飾反応 (IVG) と、Im7-6と糖鎖転移酵素の合成および糖鎖修飾反応を同一の反応液で行うone-pot合成・糖鎖修飾反応 (one-pot IVG) で行いました。
3.Multi-step IVG
1種類ずつ糖を付加しては精製し、次の糖を付加する、いわゆる「Multi-step IVG」という方法で、いくつかのタンパク質の糖鎖修飾を試みました。
- Human Interleukin-6 (hIL6)
- Human Granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (hGM-CSF)
- Human Beta-2 adrenergic receptor (hADRB2)
詳細につきましては、第22回 日本蛋白質科学会年会で口頭発表したスライドがご覧ください。