合成量に大きく影響する開始コドン直下のアミノ酸コドン

合成するタンパク質の開始コドン直後の2-6番目のアミノ酸のコドンを変えると、合成されるタンパク質の量が大きく異なることがわかりました。これをトラスツズマブ(商品名ハーセプチン)のFab重鎖(VH+CH1)をモデルにして、コドンの異なる鋳型を56種類作成し、その合成量を比較しました。

1.トラスツズマブのFabを合成

<合成プロトコル>
使用したキット:PUREfrex® 2.0、DS supplement、DnaK Mix
鋳型DNA:PCR product
インキュベーション:37 ℃、4時間

<合成結果>
軽鎖(LC)と重鎖(HC)をコードする鋳型をそれぞれ用意し、同時に添加して合成した結果、軽鎖と比べ重鎖の方が、反応液当たりの合成量が低いことがわかりました。

2.コドンが異なる配列の鋳型で合成量を比較

<鋳型DNAの作製>
トラスツズマブのFab 重鎖の開始コドン直後、2から6番目のアミノ酸のコドンを変えた鋳型DNAを、PCRを用いて56種類用意しました。

<合成結果>
56種類の鋳型DNAからタンパク質を合成し、その合成量を比較した結果、最大と最少で約50倍の合成量の差が確認されました。最大の合成量を示した鋳型DNAは、GC含量が少なくなるコドンを使用した鋳型DNA(表記:ATあるいはNF003)で、GC含量が高くなるに従い合成量が減少しました。

また、2から6番目のアミノ酸に関しては、大腸菌で使用頻度が高いコドン(表記:Major)よりも、使用頻度が低くてもGC含量が少ないコドンを使用した鋳型DNAから合成したときに、合成量が高くなることも確認されました。

 

3.様々なタンパク質でN末をATリッチ化した結果

合成するタンパク質の開始コドン直後の2-6番目のアミノ酸のコドンをATリッチにする方法は、合成量が少なめのタンパク質に効果が見られました。

詳細は、こちらのポスターをご覧ください。
「再構成型無細胞タンパク質合成系におけるN末端コドン最適化による翻訳効率向上」
https://www.genefrontier.com/files/p15_MBSJ2016.pdf

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